先進事例レポート - 講談社クリエイターズラボの取り組み紹介

UXインテリジェンス協会(以下:UXIA)では「分科会」を通して、国内外における高品質UX事例の発掘・共有や、UXインテリジェンスの実践知習得に向けた学習環境の整備などの活動をしています。
分科会の一つ「先進事例研究分科会」では、毎月定例会を開催し、国内外における高品質UX事例の発掘・共有に取り組んでいます。
2022年9月29日、第12回先進事例研究分科会をオンライン開催しました。その内容を一部紹介します。

講談社 鈴木氏による「出版業界構造を変えた新UXの着想と実現」

第12回先進事例研究分科会では、株式会社講談社 クリエイターズラボ創部 部長 鈴木氏に、同部署のプロジェクト事例を発表いただきました。

2021年6月に発足した同部署は、110余年にわたり作家を支援し書籍やコミックを世に送り出してきた同社の強みを活かしながら、時代に合わせてクリエイターの新しい「講談社体験」を追求するため、新規事業を推進しています。

今回はプロジェクトのひとつ、クリエイターと編集者のマッチングサイト「DAYS NEO」を中心に紹介いただきました。

先進事例研究レポート_DAYS NEO

同サービスは、漫画家と漫画雑誌編集者のマッチングサイトのようなもので、漫画家が自分の描いた漫画を投稿すると、編集者が作品を閲覧したり、漫画家へ感想やフィードバックを送ったり、担当希望を出せたりする仕組みです。マッチングが成立し、実際に連載につながった事例も数多くあるそうです。

従来の出版業界では、漫画家が出版社へ作品を持ち込む際、編集者に出会うまでの過程が属人化したり、偶発的だったりする傾向があるといいます。その結果、たまたま持ち込んだ時に出会った編集者の独断や好みで漫画の良し悪しを判断されてしまったり、その編集者が出版社全体を代表した存在になってしまうなど、さまざまなペインポイントが存在していました。

こうした構造から着想を得て、鈴木氏が立ち上げたのがこのDAYS NEOです。逆に漫画家が編集者を選ぶことを可能にしたり、クリエイター・編集者双方のミスマッチを防いだりしながら、一方で編集者同士も互いのフィードバック内容を知ることで自己研鑽に活用できるようになっています。

同部署では「才能を見つけて世に送り出すことが編集者の役割」という考え方を他の領域にも応用し、ゲームや映像、メタバース分野と連携したプロジェクトなど、クリエイターの可能性拡大に向けたさまざまな取り組みが行なわれています。

発表後は、事務局長 藤井が鈴木氏にヒアリングをしながらさまざまな考え方や背景を伺い、さらに慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 特任助教 山崎氏による、UXIA独自のフレームワークを用いた分析が行われました。

会員企業からは「事業推進にあたり、社内の反応はどうだったか?」「収益化の構造は?」「サイトの設計や見せ方で工夫したポイントは?」などの質問も挙がり、議論が交わされました。
参加された会員企業からは、以下のような感想がありました。

・すばらしい先進事例をご紹介いただきありがとうございます。こういった事例が増えることでいろいろな人を説得しやすくなります!

・(社内の)反対意見に対するお話などの目からウロコのお話がたくさんでとても勉強になりました

次回開催に向けて

次回の先進事例研究分科会は2022年10月。次回は事務局長 藤井が、NFTやWeb3とUXの関わりについて発表予定です。

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